コンデンスから飲み水を作る!
造水プロジェクト in富士

 「飲み水などが不足する砂漠地域などで造水機を普及させたい」という目的を達成するため、テルエンジニアリング㈱(愛知県一宮市)の藤崎氏、池田氏と、弊社顧問である中村氏の3名は、2017年8月13日~16日の間、富士山山頂にある「NPO法人富士山測候所を活用する会」にある研究機関をお借りし、コンデンスの改良版を持ち込み造水実験を行いました。
 実験には静岡第一テレビ様が同行し、実際の様子を撮影しました。

富士山測候所に辿り着くまで

富士山測候所に辿り着くまで

地上では、気温に左右されない優れた除湿力を誇るコンデンス除湿機。コンデンス方式とは、吸湿ロータで空気中の湿気を集め、集めた水分を独自の技術で凝縮(コンデンス)するカンキョー独自の除湿方式です。あっという間にタンクが一杯になる強力な除湿力は、ユーザーの皆さんはご存知のとおりだと思います。

「コンデンスの技術を活用すれば、砂漠地域でも安定的に飲み水を供給することが可能ではないか?」との思いから、より過酷な環境下で性能評価を行うため、2016年9月~2017年1月にかけて、弊社顧問である中村氏は、アフリカ大陸をはじめ世界屈指の乾燥地帯を巡り、マーケティングを敢行しました。

世界の砂漠地域や水問題を抱える地域を訪問し、現地の市民や有識者と情報交換をするなかで、砂漠地域だけでなく、標高の高い山脈、海上船舶、塩害や水質汚染が深刻な地域などでも、造水機のニーズを感じとりました。その視点で世界を俯瞰した時、水が豊富な日本でさえ、富士山の山頂では飲料水に困っている現状が見えてきました。

富士山山頂は地上に比べて、温度も湿度も低く、飲み水作りの条件が厳しい場所です。富士山山頂で造水することができれば、世界の水問題を抱える地域でも可能なはずです。 そこで今夏、「NPO法人富士山測候所」の研究機関で、コンデンスの改良版である造水機を用いて実証実験を行う運びとなりました。

富士山測候所とは? 日本最高地点である富士山頂の剣ヶ峯頂上(標高3776m)に建つ富士山測候所。
1964年に建設され、気象レーダーによる太平洋上の台風の監視を行っていましたが、2004年、72年間にわたる有人観測に幕を閉じました。
現在、研究者等により「NPO法人富士山測候所」が立ち上げられ、現在は自然現象の観測拠点として多くの研究・教育に利用されています。


研究者で賑わう夏の富士山測候所

富士山測候所が開所するのは7月、8月の約2ヶ月間。この期間は研究活動に参加する研究者や学生などの多くの人で賑わいます。
旧測候所での研究・活用が始まって今年で10年目となった今年は、27もの事業が参加していました。
  • 標高3776mに立つ富士山測候所
  • 標高3776mに立つ富士山測候所。
  • 測候所まであと少し!
  • 測候所まであと少し!
  • 眼下には火山口と雲海が広がっています。
  • 眼下には火山口と雲海が広がっています。

実験開始!

  • 標高3776mに立つ富士山測候所
  • 早速、実験中。木枠の向こうはすぐ外です。
    到着後、早速実験開始。
    コンデンスの改良版である、空気中の水蒸気から飲み水をつくる造水機を持ち込み実験を行いました。
    空気中の湿気を集め、集めた水分を独自の技術で凝縮(コンデンス)する技術力は、ここ富士山山頂でも発揮できるのでしょうか?
  • インクの滲みが過酷な実験状況を物語る!!
  • インクの滲みが過酷な実験状況を物語る!!
    2時間おきに気温・湿度・造水量を測定し、24時間実験を敢行しました。
  • 技術者達は実験のためほとんど寝る時間がありません
  • 技術者達は実験のためほとんど寝る時間がありません。

24時間で約4リットルの飲み水を作り出すことに成功!

実験ノートを集計すると、下記のような結果を得ることができました。
造水量:4,290ml
電気代換算:1L=56円
富士山山頂では500mlペットボトルが500円で販売されています。
造水機を使用すると18分の1の価格で飲み水の供給が可能になります。
このような過酷な環境下でも、空気から水を作り出すことができることが実証されました。
コンデンスの技術を応用すると、水不足で悩む地域や国に希望をもたらすことができるのではないでしょうか?

造水プロジェクトを終えて

  • テルエンジニアリング㈱ 藤崎様
    造水機プロジェクトにとって、富士山での取水試験は大変意義のあるものとなりました。
    また、できた水でコーヒーを作り飲んだことは、自分にとってもプロジェクトに関われたからこその貴重な体験です。
    今回の試験を糧に一歩ずつ進めていければと思います。
  • テルエンジニアリング㈱ 池田様
    空気が薄く、夏でも気温が低い富士山頂の実験はとてもハードでした。
    しかし、予想を大幅に超える造水量にユニットの性能の高さを再度実感。
    取れた水で飲む珈琲は特別に美味しく感じ、
    達成感も同時に得られました。
    次への実験への展望も見えた素晴らしい経験となりました。
  • 株式会社カンキョー 中村亮太
    富士山での実証実験が無事に成功し、いまは嬉しさより安堵感に満たされています。
    というのも今回の実験には、本当に多くの方々に支えられて実現されました。
    NPO富士山測候所を活用する会の皆様には、実験場所の提供だけでなく、事前に専門家としても多大な助言をいただきました。パートナー企業であるテル社の藤崎様、池田様お二人の若者パワーは、富士山頂で貴重な戦力になりました。また優秀で個性的な二人を派遣してくれた、テル社の石川社長や社員の皆様にも感謝しております。
    今回の富士山での実験をスタートラインとして、これからも砂漠緑化に繋がる活動に励みたいと思います。
    この度は貴重な機会を頂き、ありがとうございました!

当プロジェクトが新聞記事で取り上げられました。

2017年9月3日(日)日本経済新聞と2017年8月31日(木)朝日新聞の富士山測候所関連記事内で、当プロジェクトが取り上げられました。
  • 当プロジェクトが新聞記事で取り上げられました

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